2015.12.29更新

お孫さんを養子に迎え,相続対策をするという方法についてご説明しようと思います。

お孫さんを養子にして,祖父・祖母からお孫さんへ直接相続する場合のメリットとして,一番初めに挙げられるのは,相続を一代飛ばして相続できることでしょう。
通常,祖父・祖母の財産が孫の代まで相続する場合,祖父・祖母から子へ,子から孫へと2回の相続がかかり,その分納める相続税は2回分となります。
これが,祖父・祖母から直接孫へ相続できるとなると,1回分の相続が短縮されて,1回の相続で孫の代へ財産が移転することになり,納める相続税も1回で済みます。

但し,お伝えしていたとおり,相続税法上,法定相続人の数に含める養子の数(基礎控除が増える養子の数)は被相続人に実子がいる場合には1人のみ,実子がいない場合には2人までとなっていますので,すべてのお孫さんを養子とすることはできません。

また,被相続人の養子として相続人となった人で、その被相続人の孫でもある人のうち、代襲相続人にはなっていない人の相続税は,2割加算されますので,これも注意が必要です。

このように,孫養子は,養子とできる人数に制限があり,その相続税も2割加算されますが,祖父母の代から孫の代まで1回の相続で財産が残せるということが一番のメリットとなります。

 

投稿者: 吉川綜合法律事務所

2015.12.15更新

養子縁組を行うことは自由であり,養子は何人いても構いません。しかし,養子縁組を行うことで,養子も養親の法定相続人となりますので,相続税法上は,制限が加わります。

これは,以前にご説明したとおり,相続税法上,相続税は,財産を相続した全ての人にかかるのではなく,課税される相続財産の額が相続税の基礎控除を超える場合にだけかかるものですので,法定相続人が多ければ,相続税の基礎控除額も高くなってしまいます。また,生命保険金や死亡退職金の相続税非課税枠に関しても法定相続人が多ければその分非課税枠が高くなります。そのため,課税を公平に行うと言う趣旨から,相続税法の法定相続人の養子の数に制限が加えられているのです。

この制限とは、①養親に実子がいる場合は,相続税法上の法定相続人に算入可能な数は1人,②養親に実子がいない場合の法定相続人に算入される養子の数は2人まで,となっています。

なお,実子との親子関係が消滅した特別養子縁組の場合の実親の相続の際や連れ子養子といわれる養子縁組の場合は、この養子制限の対象にはなりません。

 

 

投稿者: 吉川綜合法律事務所

2015.12.10更新

カスタネット芸人の前田けゑさんが祖母の友人の養子になって15億の相続を受けたことが話題になっていますので,養子縁組と相続に関して,ご説明していきたいと思います。

まず,初日の今日は,養子縁組の種類についてです。

養子縁組には,特別養子縁組と普通養子縁組の2つの方式があります。
特別養子縁組は,養子となった者と実親との親子関係が法律上消滅するものであり,法律上は養子となった者と実親は他人としての扱いを受けることになるため,養子になった者は,養親の相続人のみになり,実親の相続人になることはありません。
また,養子の子に子(つまり孫)があっても,この者(孫)が代襲相続することもありません。
要するに,特別養子縁組がなされた時点で,実の親との法律上の親子関係はなくなり,他人となることになります。

一方の普通養子縁組は,養子先の親と法律上の親子関係が生じますが,これによって実親との親子関係が消滅することはありませんので,養子になった者は、法律上,養親と実親の2組の親の子となるため,2組の親の相続人になることになります。そして,相続に関しては、養子は,実子である他の法定相続人と相続分についても何ら違いはありません。

話題となった前田けゑさんは,おばあさんの友人との間での普通養子縁組を行ったもののようです。

次回からは,本題である養子縁組と相続に関してご説明したいと思います。

 

投稿者: 吉川綜合法律事務所

2015.11.25更新

今まで相続時精算課税はメリットが多いと説明してきましたが,今度は,本制度のデメリットをご説明します。

まず,相続時精算課税制度を活用すると決めて,税務署に相続時精算課税制度選択届出書を提出した場合,その後の撤回はできません。そのため,従来の110万円までは非課税とする暦年課税制度は使えなくなります。
また,相続時精算課税制度とは,相続発生時に贈与された財産と相続財産とを合算した額に相続税がかかる制度ですので,贈与時に税金はかかりませんが,相続財産が大きければ相続税はかかる場合があります。
また,本制度を使うことになると,大きな相続税の減額効果がある小規模宅地の特例が使えなくなる等のデメリットも存在します。

このように,メリット・デメリットのある制度ですが,活用できれば大きな相続税対策の手段になりますので,こうした方法も考えてみる必要があります。

投稿者: 吉川綜合法律事務所

2015.11.20更新

相続時精算課税制度には,贈与税の減額というメリットが存在しますが,他にも相続にあたってメリットが存在します。

まず,相続税の算定を行ってみた際に,相続税がかからないと想定される場合は,早めに財産を贈与できるため,選択するメリットがあります。
また,収益不動産の贈与に利用する場合,家賃収入が贈与を受ける側である受遺者のものになりますので,本制度利用によって,受遺者の財産を形成し,相続税の支払いに充てることができるようになります。
さらに,相続させたい財産を推定相続人に贈与することで,遺言とは異なり,相続争いを防ぐことができます。例えば,会社経営者から自社株を特定の推定相続人に贈与することで,会社の支配権の流出を防ぐことができます。

 

投稿者: 吉川綜合法律事務所

2015.11.20更新

相続時精算課税制度には,贈与税の減額というメリットが存在しますが,他にも相続にあたってメリットが存在します。

まず,相続税の算定を行ってみた際に,相続税がかからないと想定される場合は,早めに財産を贈与できるため,選択するメリットがあります。
また,収益不動産の贈与に利用する場合,家賃収入が贈与を受ける側である受遺者のものになりますので,本制度利用によって,受遺者の財産を形成し,相続税の支払いに充てることができるようになります。
さらに,相続させたい財産を推定相続人に贈与することで,遺言とは異なり,相続争いを防ぐことができます。例えば,会社経営者から自社株を特定の推定相続人に贈与することで,会社の支配権の流出を防ぐことができます。

 

投稿者: 吉川綜合法律事務所

2015.11.18更新

この相続時精算課税制度を適用した場合と,通常の暦年課税方式で贈与した場合,どのように違うのでしょうか。

2500万円を親から子に贈与した場合,

相続時精算課税制度では,贈与税は0円でしたが,
暦年課税方式で贈与を行った場合は,基礎控除が110万円なので,(2500万円ー110万円)×50%-225万円=970万円の贈与税がかかってしまいます。
贈与額の半分近くが税金になってしまうことになります。

このように,相続時精算課税制度を活用すると,暦年課税方式で算定するのと比べ,大きな節税対策となり得ます。
そのため,親から子へ多額の贈与を行う場合の有益な手段となります。

 

投稿者: 吉川綜合法律事務所

2015.11.16更新

相続時精算課税制度とは,生前に相続人予定者に2500万円まで無税で贈与し,相続時にその贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算する制度です。いってみれば,生前の贈与を相続と一体としてとらえる制度となります。
 
相続時精算課税制度では,贈与の際,この制度適用開始以降の贈与を累計した額が原則2500万円を超える部分については一律20%の贈与税を支払い,相続時には贈与済の財産と相続財産とを合算して最終的に精算するというものです。
例えば,相続時精算課税制度適用時に,2500万円の贈与を行った場合は,(2500万円-2500万円)×20%となりますので,贈与税は0円です。
また,すでに支払った贈与税は相続税の前払いとして相続税から控除されますので,払い過ぎた贈与税は還付されることになります。

この相続時精算課税制度による贈与に対して,原則的な贈与税方法である暦年課税方式があります。
この方法はでは,基礎控除が年110万円となり,これを超える部分の税率は贈与額に応じて6段階に分かれます。例えば,基礎控除後の課税価格が1000万円を超える場合では,課税価格×50%-225万円が贈与税の額となります。

 

投稿者: 吉川綜合法律事務所

2015.11.13更新

贈与税の配偶者控除とは,結婚して20年以上経過した夫婦間で,自宅や自宅購入資金の贈与があった場合に,その贈与税について,最高2000万円まで控除することが認められる制度です。
そして,そもそもの贈与税の基礎控除も並行して使うことができますので,合計2110万円までは贈与税がかからないことになります。

この配偶者控除は,夫から妻に対しても,妻から夫に対しても適用されますが,他に適用されるための条件があります。
①婚姻期間が20年以上であること,②夫婦の居住用不動産の贈与か居住用不動産の取得のための金銭の贈与であること,③土地又は借地権のみの贈与である場合は家屋の所有者が配偶者又は同居している親族であること,④贈与の年の翌年3月15日までに夫婦が居住し,かつ引き続き居住する見込みであること,⑤贈与税の申告を行うこと,⑥同一の配偶者から一生に一度のみ受けること,などです。

ただし,この贈与によって贈与税がかからないとしても,贈与を受けた側には,不動産取得税や名義変更の際の登録免許税などがかかりますので,その点注意が必要です。

投稿者: 吉川綜合法律事務所

2015.11.06更新

生前贈与の基礎控除が110万円まで認められていることから,親が子に対して,子供名義の預金口座に毎年110万円ずつ贈与し貯金しているという話を聞いたことがあるかもしれません。

しかし,親が亡くなって相続が発生した先に,この子供名義の預金を相続人である子供が自身の預金だと主張しても,子供の預金としての実態が伴わないとの理由で,税務署から相続財産と認定されてしまうことはよくあります。このような生前贈与を子供の預金であると認められるためには,子供の預金であるという実態が必要になります。

この場合,贈与者である親と受贈者である子との間に,贈与をした・贈与を受けたという意思が必要になります。このような意思を証明するためには,贈与契約書を作成し,当該契約書に基づいて,口座振り込みによってお金が実際に移転していることが簡便です。そのため,親が作成した子供名義の口座ではなく,子供が印鑑・通帳などを管理している口座に,親の口座から振込む方法で行うことが重要になるともいえます。

また,贈与の実態を証明するためには,子供が贈与税の申告を行うことも重要です。この場合,基礎控除額の110万円を超える金額の贈与を行い,超えた分を贈与税として申告することになります。ただし,実際にお金の移動がなければ,結局子供の預金としての実態が伴わないと判断されてしまうので,その点は注意が必要です。

投稿者: 吉川綜合法律事務所

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