事例でみる不動産相続~親が子の住宅資金を援助していた場合~4
2016.05.17更新
生前贈与があった場合は,どのように相続分を算定するのでしょうか。
共同相続人の中に被相続人から生計の資本として生前贈与を受けるなどの特別の受益を受けた者がいる場合には,相続に際して,この贈与を相続分の前渡しとみて,相続分の計算上,贈与を相続財産に持ち戻して相続分を算定します。
この「生計の資本としての生前贈与」とは,居住用不動産の購入資金に関する贈与が典型例であり,本件の3000万円が次男のマンションの購入資金である場合は,特別受益に該当することが考えられるケースでした。
本件事例で,3000万円全額が特別受益であるとした場合,次男は,以下の計算より結局,父の財産を相続しないこととなり,自宅と預貯金を母と長男が相続することが考えられます。
相続財産:自宅不動産3000万円+預貯金1000万円+生前贈与3000万円=7000万円
次男の相続分:7000万円×1/4(法定相続分)-生前贈与3000万円=-200万円<0円
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