事例でみる不動産相続5~見るべき資産が戸建住宅のみの場合~
2016.03.31更新
前回まで,自宅不動産が唯一の相続財産である場合の解決方法をご紹介してきました。
上記の解決においては,寄与分,自宅評価に関する長男の主張が認められていますが,実際の相続トラブルにおいては,これらの主張が認められるのは容易ではありません。
例えば,上記の主張をするにあたっては,最低限,介護状況に関する資料の収集,父の預貯金口座,支払先等に関する全ての金銭出納状況の精査等が必要となります。また,不動産の評価に関しては,そもそも相手が提示してきた査定額が高額なのかどうかを判断しなければならず,仮に高額だと考えたとしても,誰に不動産評価をお願いすればよいか,評価を依頼したとしてもその評価額が自分にとって有利な評価額となるのか等の問題もあります。
相続問題が起きてしまった場合,上記事案とは異なり,親族内の話し合いで解決できる場合もありますが,他方で上記事案のように解決のために複雑な手続を踏まなければならない場合もあります。最近では一次相続未解決の二次相続(上記事案では,母の相続が解決していない中で,父がお亡くなりになる場合)のご相談を多くいただきますが,そのような場合には親族内での解決が非常に困難です。
相続問題が起きた場合,親族内での話し合いによる解決が妥当かどうか等の点については,第三者の意見を聞きながら慎重に決めていく必要があります。
投稿者: