2016.01.12更新

教育資金一括贈与時の非課税制度について紹介しましたが,もう少し詳しくご説明したいと思います。

この非課税制度の対象となるのは、30歳未満の人が「直系尊属」から受ける贈与であり,親から子,祖父母から孫への贈与が対象になります。また,贈与されたお金の使い道は教育資金に限られます。具体的には,授業料などの学校へ直接支払う場合は1500万円まで,そのうち500万円までは,学校以外の習い事にも使えます。

そして,贈与されたお金は金融機関の教育資金口座に入金する必要があり,贈与した人は,この金融機関を通して「教育資金非課税申告書」を税務署に提出することで初めて非課税になります。また,教育資金口座は贈与を受ける者1人につき1つの金融機関に限られ,途中での変更はできませんし,一旦贈与した金銭は,取り返すことはできません。

このように贈与されたお金を金融機関の教育資金口座に入金するわけですが,名義は贈与を受ける者の名義となり,名義人若しくはその法定代理人である親が,教育資金口座から教育資金を引き出し,その際に,教育機関等からの領収書を受け取ることが必要となります。

そして,先日ご説明したとおり,贈与を受ける者が30歳になった時に,口座に残った資金に贈与税がかかることになります。

投稿者: 吉川綜合法律事務所

2016.01.07更新

平成25年の相続税改正において,学費の贈与に関しては最大1,500万円の非課税制度が設けられました。

平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に、個人(30歳未満に限る。)が、教育資金に充てるため、 その直系尊属と信託会社との間の教育資金管理契約に基づき信託の受益権を取得した場合等は,その信託受益権等のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、贈与税の課税価格に算入されません。

要は,祖父母からお孫さんへ教育資金として贈与する場合,その贈与する金銭を信託銀行などに預けておき,そこからお孫さんの教育資金を支出していった後,お孫さんが30歳に達したときに預け入れた資金が余った場合にはその余った部分について贈与税がかかり,余らなければ,預けた1500万円には贈与税がかからないという制度です。

 

 

投稿者: 吉川綜合法律事務所

2016.01.05更新

養子縁組はメリットだけではなく,当然にデメリットも存在します。

まず,ひとつめは,相続人が配偶者のみの場合に養子縁組を行うと,配偶者の税額軽減の枠が少なくなる点です。
子供がおらず,甥や姪を養子にした場合,養子縁組前は配偶者の税額軽減は3/4ですが,養子縁組後は1/2になってしまいます。そのため,今後の配偶者の生活のために,多くの財産を残してあげたいと思っていても,配偶者への財産に相続税が課税されてしまう場合があります。

二つめは,相続人が増えることにより遺産分割がまとまらなくなる可能性が増える点です。
養子も法定相続人ですから,遺産分割協議を行う一人ですので,養子縁組をした分,法定相続人が増えます(1人若しくは2人とはなりますが。)また,相続人が増えたことによって,他の相続人から相続分が減ったという不満がでることも考えられます。

三つめは,未成年者を養子にした場合,未成年者は単独で法律行為を行えない点です。
未成年者が,法律行為を行うには法定代理人の同意が原則として必要となりますので,遺産分割協議は法定代理人が未成年者本人を代理することになります。しかし,孫養子の場合,未成年者の法定代理人である親(被相続人にとっては子)も相続人の一人となりますので,親と子の利害が対立してしまって法定相続人になることができない場合があります。この場合は,未成年者後見人を立てて,遺産分割協議を行うことになります。
 

投稿者: 吉川綜合法律事務所