現在議論されている相続法改正の中で,配偶者の居住権保護とは別に,配偶者保護の観点から改正しようとしている点が配偶者の法定相続分です。通常,婚姻期間が長ければ,夫の財産は夫婦で協力して作り上げた夫婦共同財産であり,妻の法定相続分が1/2では夫婦共同財産の自分の分を取り戻したに過ぎず,配偶者の貢献が考慮されてないという問題点から,改正が議論されています。
改正案では,配偶者の貢献度合いを計算して法定相続分を決定する等の改正案が出ていますが,「貢献度」というあいまいなものを計算することから,遺産分割が複雑化してしまい,相続人間でトラブルが生じるリスクが高まる可能性もあります。
相続法改正の議論は,現在進行形で議論されているものであり,今後改正案が変更することも大いに考えられますので,今後の議論には注目していく必要があります。
しかし,問題点となっている残された配偶者の生活の保護という観点は,現在でも問題となり得るものです。相続法改正前の現段階においても,残された配偶者の生活が相続によって大きく変わらないために,生前に遺言を作成しておくことがより必要となっていくものと考えられます。