相続財産の典型的なもののひとつとして被相続人の預貯金があります。
この預貯金は,金融機関が管理保管している被相続人の金銭のことであり,法的には、被相続人の金銭を預けている各金融機関に対して、その預貯金の払い戻しを請求できる権利であり,現金とは区別した取り扱いがなされることになっています。
通常,相続が開始されると、相続財産は遺産分割によって各共同相続人の具体的な相続分が決まるまでの間は、各相続人の法定相続分に応じて共有とされるのが原則です。そのため,預貯金も相続財産の一つですから,相続人の共有となるかとも思われます。
しかし,現在の判例では,預貯金は、預金者に相続が生じた場合、相続の開始によって法律上当然にその債権が分割され、各相続人が相続分に応じて預金債権を承継すると考えられています。そのため,相続が生じた場合は,各相続人は,記入機関に対して各自の相続分に応じて預金の払戻しを請求することができると考えられているのです。
そのため,預貯金は,遺産分割の対象となる相続財産には含まれない,と考えられています。