相続財産が実家の不動産のみである場合であり,不動産の評価が問題となるケースが多くなっています。
兄弟そろって,売却後,その売却代金を案分することで合意できればいいのですが,片方の兄弟が親と同居していた場合は,親の死後も,当該不動産に住み続けることを希望するでしょう。この場合,住み続けたい片方の兄弟と,不動産はいらないので相続分の現金がほしい片方の兄弟との間で対立が生じてしまうケースが多くみられます。
不動産は,共同相続することもできますが,兄弟それぞれが家庭を持っている場合,2家族が同居することは困難なため,実際は,兄弟のどちらかが相続し,相続しない方は相続分に相当する金銭を受け取るという,代償分割を行う場合が多くなります。
不動産の価格を決めるためには,路線価,実際の売買価格(実勢価格),固定資産評価額,地価公示・地価調査の4つの基準が用いられます。その不動産にもよりますが,一般的には,路線価や固定資産評価額は、不動産売買価格(実勢価格)と比較して低くなりますので、路線価を基準として算定した場合や固定資産税を基準として算定した場合と実勢価格を基準にして算定した場合とでは、代償分割において支払われる金銭の額も大きく異なります。
そのため,代償分割とするとしても,様々な基準での不動産の評価額が存在しますので,当該不動産ををどのように算定するかで争いとなる場合が非常に多くなっています。
このように,相続争いは,財産があるなしにかかわらず生じてしまう可能性が高いものですので,生前に遺言を作成しておく等の相続対策を行っておくことが兄弟間の争いを避けるためには有効となります。また,上記のケースのような不動産の評価が問題となるケースは,評価方法の違いで大きく金額が異なることになりますので,弁護士等の専門家に相談してみることで自身に有利に解決できる場合もあります。