【遺言の悪用が問題となったケース】
相談者であるAさんの父はすでに10年前に他界し,母は父が残した自宅で一人暮らしをしていました。Aさんには妹であるBさんがいます。Aさんは結婚して,母の自宅から遠く離れたところで生活していたため,母の自宅の近くに住む未婚のBさんが,認知症の出ていた母の身の回りの世話をすることになりました。しかし,3年ほど前,Aさんが母を訪ねたところ,母の認知症がかなり進んでいたにもかかわらず,Bさんが全く母の世話をしていないことが判明しました。Aさんは遠方に住んでいて,母を引き取ることができなかったため,母は老人ホームへ入居することになりました。その後,母は亡くなり,遺産分割をすることになったところ,Bさんは,母の遺言を持っていると言ってきました。その遺言の内容は,母の遺産の全てをBさんに相続させるという内容でした。
老人ホームに入居する前の段階で,すでに母の認知症の症状は相当程度進行していたため,母が亡くなる直前にそのような内容の遺言を書くことができたのか疑問でした。Bさんが母名義の遺言を書いた可能性が高いと思われたため,Aさんは,Bさんに対して母の遺言は無効だと主張しました。すると,Bさんは弁護士を立てて遺言は有効であると主張してきたため,Aさんも弁護士に依頼しました。
どのような解決となったか,次回は解決方法についてご紹介します。