2016.03.24更新

前回からご紹介している事案は,相続財産は時価3000万円の自宅不動産のみで,家を出ている次男から自宅に住んでいた長男に対し,自宅を売却し,その半分を自分に渡すべきだ,渡せないのであれば自宅の時価3000万円の半分である1500万円を払えと言われてしまった事案です。

この事案では,どのように解決したのでしょうか。

長男は,次男の依頼した弁護士も主張するとおり,介護のために必要なお金や自宅の固定資産税等を父の預金口座から引き出して使用していたこともあったため,やはり次男のいうとおり,自宅を売却しないのであれば,自宅の時価の半分である1500万円を次男に払わなければ解決できないかもしれないと考えました。しかし,そのような資産がないことからどのように進めたらよいかを弁護士に相談されました。

長男が,介護のために多大な負担をしてきた場合,それは寄与分として,相続において有利に斟酌されます。父が要介護認定を受けていたのであればその要介護認定の内容,程度,介護方法として入院介護,在宅介護のいずれであったか等,様々な要素を検討し,寄与分の有無及びその程度が決まります。上記事案は,3年前から父は要介護認定4を受けており,在宅介護の状態であったことから相応の寄与分が認められ得る事案でした。

投稿者: 吉川綜合法律事務所