2016.01.05更新

養子縁組はメリットだけではなく,当然にデメリットも存在します。

まず,ひとつめは,相続人が配偶者のみの場合に養子縁組を行うと,配偶者の税額軽減の枠が少なくなる点です。
子供がおらず,甥や姪を養子にした場合,養子縁組前は配偶者の税額軽減は3/4ですが,養子縁組後は1/2になってしまいます。そのため,今後の配偶者の生活のために,多くの財産を残してあげたいと思っていても,配偶者への財産に相続税が課税されてしまう場合があります。

二つめは,相続人が増えることにより遺産分割がまとまらなくなる可能性が増える点です。
養子も法定相続人ですから,遺産分割協議を行う一人ですので,養子縁組をした分,法定相続人が増えます(1人若しくは2人とはなりますが。)また,相続人が増えたことによって,他の相続人から相続分が減ったという不満がでることも考えられます。

三つめは,未成年者を養子にした場合,未成年者は単独で法律行為を行えない点です。
未成年者が,法律行為を行うには法定代理人の同意が原則として必要となりますので,遺産分割協議は法定代理人が未成年者本人を代理することになります。しかし,孫養子の場合,未成年者の法定代理人である親(被相続人にとっては子)も相続人の一人となりますので,親と子の利害が対立してしまって法定相続人になることができない場合があります。この場合は,未成年者後見人を立てて,遺産分割協議を行うことになります。
 

投稿者: 吉川綜合法律事務所