2015.10.05更新

相続税は,相続によって財産を取得した相続人が,自らの取得した財産について相続税を計算して申告するものですから,相続税の納付前に遺産分割が完了していることが前提となります。なぜなら,遺産分割が完了していないと,相続人に帰属する財産がどれなのかがわからず,相続税が計算できなくなってしまうからです。

しかし,相続税の納付期限は,被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内ですので,それまでに遺産分割がまとまらない場合も発生してしまうことはよくあります。
このような未分割の場合であっても,相続税の納税は延期されることはなく,民法上の相続分の割合によって取得した財産の金額を計算し,これをもとに相続税を計算して,期限内に納付することになります。

この未分割での相続税申告は,減税効果の高い小規模宅地の特例や配偶者の税額軽減の特例などの適用ができません。
申告期限から3年以内に遺産分割がまとまったら,こうした特例を適用して再申告することになります。

投稿者: 吉川綜合法律事務所