相続人は,相続開始から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。ここで,相続人が承継した権利義務のことを相続財産といいます。簡単にいえば,亡くなったご家族が持っていた現金や預貯金,不動産や株・社債などのプラスの財産と借金やローン,連帯保証人となっていた場合の連帯保証人の地位などのマイナスの財産すべてをひっくるめた権利義務のことになります。
逆に,被相続人の一身に専属し,他人が取得・行使できない権利である一身専属権や祭具・墳墓といった祭祀財産は相続財産とは区別され,相続人に承継されることはありません。
一身専属権は,個人に与えられた年金の受給権や許認可(個人事業の営業許可など)などのことであり,祭祀財産はお墓や位牌・仏壇などのものが例として挙げられます。
また,被相続人の死亡により発生する相続人等の固有の権利である生命保険金や死亡退職金なども相続財産ではありませんが,相続税との関係では,みなし相続財産として課税財産になることがありますので,注意が必要です。
以上のとおり,プラスとマイナスの相続財産を相続人らは承継し,後の遺産分割で分けることになるのですが,この際,全体の相続財産を把握して,相続放棄などの決断を行わないといけないことから,相続財産の調査が必要になります。
特に,相続放棄等の手続きは、「相続の開始を知った日から3ヶ月」と非常に短い期間のうちにしなければいけませんので,できる限り早く調査して把握する必要があります。