相続財産が不動産のみである場合,複数の不動産をお持ちで各相続人に分け与えられるのであれば問題はないのですが,相続財産がご自宅の土地建物以外にない場合は,各相続人への相続分を与える場合に問題が生じます。
ご自宅の土地建物を相続人らで共有とする場合は問題ありませんが,ご自宅を売却して代金を分けるか(換価分割),土地建物は相続人の一人が相続し,他の相続人に土地建物の価値を基にした相続分を現金で渡す方法(代償分割)がとられる場合が多くなっています。代償分割で支払う現金が残っていない場合は,換価分割で土地建物を売却することになってしまいますが,残された配偶者が住む家に困るということにもなりかねません。
このような場合に備え,遺言によって,他の相続人の遺留分を確保しながら,自宅だけは特定の相続人に相続させることが可能となり,残された配偶者の生活拠点が守られることになります。