先日より,判断能力が欠けることになってしまった場合には,本人保護のために成年後見制度を利用することをご紹介しました。では,成年後見人の業務とは,どのようなものでしょうか。
成年後見人の業務とは,本人の意思を尊重し,かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら,必要な代理行為を行うとともに,本人の財産を適正に管理していくこととなります。もっとも典型的な業務としては,本人のために診療・介護・福祉サービスなどの利用契約を結ぶことと,本人の預貯金の出し入れや不動産の管理などを行うことが挙げられます。
成年後見人に選任された場合,まずは,本人の財産や収入を把握し,医療費や税金などの決まった支出を見積もり,医療看護の計画と収支の予定を立てて「年間収支予定表」を作成し,本人の財産に関する「財産目録」を作成し,裁判所に提出します。その後は,1年ごとに事務報告書,財産目録,資料などを裁判所に提出することになります。
特に,預貯金の流用など財産の管理が不適切である場合には,成年後見人を解任されたり,民事・刑事上の責任を問われることもありますので,本人の財産を他人の財産と混在させたりしないように注意することが必要になります。